先進国通貨と新興国通貨の違い:スワップポイント、値動き
FXをはじめようとしている人…
・トルコリラや、南アフリカランドなど、新興国通貨は金利が高いので魅力的と言われるけど、リスクはないのかな?
・先進国通貨と新興国通貨ではどのような違いがあるのだろう
このような疑問に答えていきたいと思います
本記事のテーマ
先進国通貨と、新興国通貨の違いについて解説します
先進国通貨とは、新興国通貨とは
先進国通貨とは文字通り、先進国の通貨のことですが、具体的には以下のG10通貨を指すことが多いです。
- 米ドル(USD)
- ユーロ(EUR)
- 英ポンド(GBP)
- 日本円(JPY)
- 豪ドル(AUD)
- ニュージーランドドル(NZD)
- カナダドル(CAD)
- スイスフラン(CHF)
- ノルウェークローネ(NOK)
- スウェーデンクローナ(SEK)
新興国通貨とは、エマージング通貨とも呼ばれ、上記以外の通貨を指します。
代表的な通貨としては、ブラジル・レアルやロシア・ルーブル、インド・ルピー、中国人民元、南アフリカ・ランドがあります。
「スワップポイント(利回り)の違い」の前に…スワップポイントが発生する理由
FXにおいて、ドル円でドルを買うということは、ドルを買い持ちし、円を売り持ちすることです。
(外貨両替なら、窓口でドルを買って、円を売る(ドルの代金を円で支払う)ことになります)
外貨両替と、FXの違いは、FXにおいては、実際に持っている円を使うわけではないということです。
ドルを買う時の円は、借りてきます。その時の担保となるのが、証拠金であり、証拠金でドルを買うわけではないです。
よって、保有している円(証拠金)以上の金額の、ドルを買うことが出来ます。これがFXでレバレッジを掛けることが出来る理由です。
さて、ドル円でドルを買った場合、購入したドルに対しては、ドルの金利が付きます。
ドルを買う際に支払った円は、借りたものなので、円の金利を支払う必要があります。
よってFXにおいて、ドル買い・円売りを行うと、ドルの金利を受け取り、円の金利を支払います。これを、スワップポイントと呼びます。
ドル買い・円売りのスワップポイント = ドルの金利 - 円の金利
この式からわかる通り、高金利の通貨を買って、低金利の通貨を売れば、受け取ることが出来るスワップポイントは大きくなります。
先進国通貨と新興国通貨の、スワップポイント(利回り)の違い
先進国通貨を買うよりも、新興国通貨を買った方が、貰えるスワップポイントは多くなります。
円を売って、何らかの通貨を買ったとき(例えば円売りドル買い)のスワップポイントを利回りに直したものが、下図の通りです(2021/1/15)。
例えば円を売ってトルコリラを買うと、年間で6%の利回りを得ることが出来ます。
その一方で、ドルやポンドを買っても、ほとんど金利が付きませんし、日本よりも金利が低い、スイスフランやユーロを買うと、金利を支払うことになります。
スワップポイント(金利)が高いのには理由がある
為替に限らず、債券でも不動産でも、金利が高い商品は、その分リスク(値下がりする可能性)も高いです。
2009/4に1トルコリラを(対円で)買った場合、どうなったでしょうか。
当時は1トルコリラ=60円でした。
2009/4~2021/1で、26円のスワップポイントを得ることが出来ています。
だし、トルコリラは60円から14円に▲46円も下落しています。
高金利通貨、例えば5%の金利がつく通貨があるなら、「毎年5%、その通貨の価値は下落し、20年後にはほぼ無価値になる」くらいのリスクはあると思った方がよさそうです
そしてトルコリラの下落は、受け取り金利を大きく上回っていますので、上記の例以上のリスクがあったともいえます。
以上を踏まえると、新興国通貨への投資は、短期トレードを中心とした方がよく、長期投資には向いていないといえるでしょう。
スワップポイントの確認方法
各FX会社が、スワップポイントを公表しています
DMM FX
サイトへ進む→左上のDM FX をクリック→DMM FXの特徴→スワップポイント
スワップポイントは、通貨ペアで異なります
また下の例だと、売り-10、買い7となっています。つまり、売りと買いを両方行うと、(-10) + 7 = -3で、損になります。見方を変えると、この3が、FX業者の収益になります(手数料の一種のようなものです)。
FXでは売買の際、売値と買値が異なり、その差がFX業者の収益となりますが、スワップポイントも同様といえます。
曜日によってもスワップポイントは異なります。例えば1/14(木)に4日分のスワップポイントがもらえるのは、1/15、16、17にスワップポイントが付与されないからです(その分、前倒しでもらいます)。
値動きの違い…レンジorトレンド
新興国通貨と先進国通貨では、値動きも異なります。
下図は、2009/を100とした為替の動きですが、トルコリラや南アフリカランドは、対円で下落し続けています。このように、新興国通貨は(先進国通貨対比、例えば対円で)トレンドを持つことが多いです。
これは、先進国経済と新興国の経済が大きく異なる動きをするためです。例えば直近のインフレ率はトルコが14%、日本は-0.7%です。
その一方で、先進国の経済は、新興国と比べれば安定しているほか、似たような動きをしますので、新興国通貨同士のペア(ドル円、ユーロ円、ユーロドルなど)は、レンジの動きをします。
よって、先進国通貨の取引で含み損になっても、長期間保有していれば、含み損が解消する可能性は十分にあり、先進国通貨は、レンジトレードや、長期投資に向いているといえます。
まとめ
今回は先進国通貨と新興国通貨の違いを、利回りと値動きの観点から説明しました。
新興国通貨が高金利であることや、その分、リスクが高いことは比較的知られていますが、どの程度、リスクが高いかについては、イメージがないかたも多かったのではないでしょうか。
また新興国通貨と先進国通貨の値動きの違いは、あまりフォーカスされてこなかったテーマですが、その通貨がトレンドフォローorレンジトレード、短期投資or長期投資のどちらに向いているかを知ることは非常に重要です。
今回の内容が投資の参考になれば幸いです。
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