為替取引とは
ある通貨とある通貨を交換する取引を、「(外国)為替取引」と呼びます。例えば日本からハワイに旅行に行くとき、空港などで日本円を米ドルと交換しますが、これを「円売り・ドル買い」、あるいは、単に「ドル買い」といいます。
また「円売り・ドル買い」といいましたが、単に円とドルを交換する、というイメージで大丈夫です。
野菜を買うとき、「円売り・野菜買い」とは言いませんが、これは日本において、野菜を買う際に、差し出すものが通貨(円)であると決まっているからです。
為替取引で利益を出すには
安く仕入れて、高く売る、これが商売の基本です。
たとえば1ドルを100円で買い、110円で売ることが出来れば、10円の利益です。100円あたり10円ですから、利益率は10%。10万円分行えば、1万円の利益です。
ただし為替は、野菜や本、おもちゃといった物と異なり、セールがありません。ですから、安く買うことは不可能です。(両替店でドルを買えば、手数料等を取られるので、高く買うことはできますが…)
また売る時も、高く売る、ということも不可能です(両替屋さんで安く売ることはできますが)。
可能なのは、適正価格で買って、適正価格で売ることです。
ただし、適正価格は刻々と変化します。
よって、適正価格が今後上がると見込んだ時に買って、適正価格が予想通り上がった時に売ることで、利益を出すことが出来ます。
・ドル円の値動きと、ドルを売買して利益が出たタイミング
為替の適正価格が動く原因は?
買いたい人が増えれば、その価格は上昇します。これは、物でも、為替でも同じです。
それでは、為替(ここではドルとしましょう)を買いたい人が増えるとは、どういう状況でしょうか。
ネットバンクのホームページなどに、外貨預金の金利が掲載されています。
通貨によって金利が違います。
日本円で1年間預金しても、金利はほぼ0%ですが、例えば米ドルだと0.1%つきます(楽天銀行、2021/1/24)。
米ドルの預金金利が今後、0.2%、0.3%、…と上昇するなら、米ドルで預金する人が増えそうですね。
例えば楽天銀行で、米ドルで預金するというのは、楽天銀行に一旦、日本円を預け、それを楽天銀行で米ドルと交換し、その米ドルを楽天銀行に預ける、という流れになります。
つまり、米ドル預金が増えるということは、米ドルを買う人が増えるということで、その結果、米ドルの価格は上昇します(例えば1ドル100円から1ドル110円に)。
よって、米国の金利が上がると見込まれる場合(あるいは実際に、米国の金利が上がっている場合)、米ドルの価格が上昇します。
外貨預金で収益を得るには?…金利と為替差益
外貨預金の収益としては、「金利収入」と「為替差益」があります。
まず、「金利収入」についてです。
外貨預金も預金ですから、預けた金額に対して、預金金利が付与されます。
外貨預金は、外貨を所有するという点では、両替所でドルを買うのと同じですが、両替所でドルを買って、財布に入れても、金利はつかないので、金利の面で、外貨預金の方が有利です。
また、日本円は世界的に見ても預金金利が低いので、(一部例外はありますが)外貨預金の方が、円で預金するよりも、高い金利を得ることが出来ます。…「金利収入」
そして「為替差益」は、買った外貨を売る(外貨を円に戻す)ことで実現できます。
例えば楽天銀行などで、1ドル100円の時にドル預金をし、1ドル110円の時にドルを円に戻せば、1ドルあたり10円の利益を得ることが出来ます。…「為替差益」
金利が上昇するのはいつ?
預金金利とは、我々が銀行にお金を預けることで得られる金利ですが、銀行にお金を預けるということは、銀行にお金を貸している、ということにもなります。
銀行は我々から預かった(借りた)お金を、家を買いたい人(住宅ローン)や、企業に貸すことで金利を得ています。
そして銀行にとっては、「貸出金利 - 預金金利」が収益(利ざや)になります。
貸出金利が上昇すれば、銀行は、預金金利を高く払ってでも、お金を集めます(貸出金利1%なら百万円貸して1万円の金利収入ですが、金利が2%になれば、2万円の収入です)
貸出金利が上がる一因は、お金を借りたい人や企業が増えた時です。
お金を借りたい人が増えるときとは、景気が良くなるときです。
景気が良くなれば、将来の給料も上がりそうなので、住宅ローンを組んででも(銀行からお金を借りてでも)、家を買いたい人が増えるでしょう。
また、景気が良くなれば物がたくさん売れるので、銀行からお金を借りてでも、新しい工場を作って、生産能力を高めたい企業も増えるでしょう。
景気以外にも、インフレや金融政策など、金利を動かす要因は様々です。ただし
「景気が良くなる→インフレ率が上昇する→インフレ率の上昇を抑えるために中央銀行が政策金利を引き上げる→銀行の貸出金利や預金金利も上昇する」
という経路を踏まえれば、金利を動かす要因として、とりあえず景気にだけ注目してよいかともいます。
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