株高局面では、楽天日本株4.3倍ブルのような、ブルファンドが人気です
日経平均が10%高になる場合、上記のファンドでは、43%高となるため、少ない資金でハイリターンを狙うことが出来ます
ただしこれは、短期的にしか成立しません
実は、レバレッジファンドは、保有期間が長くなると、単価が下落する性質を持っています
レバレッジファンドの長期パフォーマンスが低いのは、信託報酬が、インデックスファンドよりも高いことにも起因しますが、主因は別にあります
実例で見てみましょう
下図のように、2015/12末~2017/7末で見ると、日経平均は5%程度上昇しているにも関わらず、ブルファンドは購入時から5% x 4.3 = 21.5%上昇するのではなく、30%も下落しています
<日経平均と、楽天楽天日本株4.3倍ブルの値動き~2017/7:2015/12末を100とした>
2020/12末まで保有した場合、日経平均は+44%であるのに対し、ブルファンドは+39%です
<日経平均と、楽天楽天日本株4.3倍ブルの値動き~2020/12:2015/12末を100とした>
レバレッジファンドが参照する、日経平均が全く動かなければ、レバレッジファンドのパフォーマンスはこれほど悪いものになりません
日経平均が上下に変動することが、レバレッジファンドのパフォーマンスを悪化させています
その原因は”4.3倍”という、倍率を固定してしまっていることに起因します
<ブルファンドの作り方:手順1>
簡単のために、倍率を4.3倍ではなく、2倍にしてみましょう
また、同じくの簡単のために日経平均が1万円だとします
私がブルファンドを100万円分買ったとします
そうすると、日経平均が10%(+1000円、1万円→1.1万円)上昇すれば、私が保有するファンドの評価益は20%上昇する必要があります(+20万円、100万円→120万円)
このファンドは、先物を使って組成可能です
日経225ミニ先物を1枚買うと、日経平均が1円上昇する毎に、100円の利益を得ることが出来ます
日経平均が1000円上昇するなら、利益は100×1000=10万円です
今回の例では、日経平均が1000円上昇すると、評価益が20万円上昇すればよいので、日経225ミニを2枚、買い建てればよいです
これで、2倍ブルファンドを作ることが出来ました
<ブルファンドの作り方:手順2>
そして実際に、日経平均が1万円から1万1千円に上昇したとします
そうすると、当初100万円のファンドの評価額は、120万円になります
ここまでは問題ありません
<ブルファンドの作り方:手順3>
日経平均が1万円から1万1千円に上昇したので、ファンドの倍率を2倍に維持するために、調整を行う必要が出ます
日経平均が10%上昇して、1万1千円から、1万2100円に上昇したとしましょう(+1100円)
当初、日経225ミニを2枚、買い建てていたので、調整をしないと、ファンドの評価額は、1100円×2枚×100枚=22万円上昇します
つまり、120万円+22万円=142万円となります
しかし、120万円の評価額が、10%×2倍=20%上昇するならば、144万円になります
よって調整をしないと、日経平均に対するファンドの値動きの倍率が、2倍を下回ってしまいます
そこで、今回のように日経平均が上昇(1万円→1万1千円)した場合、ファンドは日経225ミニ先物を買い増すことで、倍率を維持します
逆に、日経平均が下がると、ファンドは日経225ミニ先物の買いポジションの一部を売却します
このようにレバレッジファンドは、日経平均が上がったら買い増す、下がったら売る、という、トレンドフォローの売買を行います
淡々と日経平均が上昇する場合は、この手法は有効ですが、日経平均が上下する場合、以下のようになり、ファンドのパフォーマンスは、日経平均を下回ります
日経平均が上昇→ファンドが買い増し→日経平均が下落→ファンドは買い増した分だけ、余計に損失
日経平均が下落→ファンドが一部を売却→日経平均が上昇→ファンドは一部を売却しているので、売却した分だけ、上昇益が目減り
日経平均が、上下しながらも急激に上昇する局面ならば、まだファンドの収益はプラスになりますが、小幅上昇程度ですと、時間の経過と、それに伴う日経平均の上下により、ファンドの損失が拡大していきます
以上のことは、ベアファンドにも当てはまります
ブルファンド、ベアファンドを購入する場合は、短期保有を心がけましょう
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