コロナ後で見ると、中国株は米国株と同程度の上昇率
足もと中国株は下落しています。しかし直近の下げを加味しても、ドル建ててみると、コロナ後の中国株は米株と同程度の上昇率を維持しています。
つまり、「コロナからの回復を織り込んで、中国株が米国株よりも先に上昇」⇒「その後、米国がコロナから回復して中国に追いついた」と見ることが出来ます。
(詳しくは後程述べますが)直近に関しては、米国では実質金利の低下で、ハイテク株主導で米株が押し上げられています。中国でも実質金利が低下し、ハイテク株に追い風は吹いていますが、中国当局のハイテク規制が足を引っ張り、中国のハイテク株の上値が抑えられています。
2016年、2018年との比較
2016年の中国ショックや2018年米中摩擦激化の時と比べ中国元の下落幅が小さいことから、当時と比べて足もとは、中国からの資本流出が限定的といえます。
それでも今年の中国株は大きく米株に出遅れています。その背景としては、
・中国当局の規制
・米国の対中政策の影響
を挙げることが出来ます。
ただし、米国では実質金利が過去最低水準を更新していることが、ハイテク株を中心とした米株を支えていることを踏まえると、長期金利が昨夏以来の水準にまで低下している中国に関しても、株価は下支えされやすい状況にあるといえます。
中国株の中では消費関連が弱い
中国株のパフォーマンスをセクター別にみると、消費関連の弱さが目立ちます。
中国当局による規制が、不動産、ハイテクだけでなく、教育、ネット販売にまで及んできたことが影響しています。
中国当局は2021年7月に 金融緩和(預金準備率引き下げ) の行ったものの、金融株や不動産株は引き続き軟調に推移しており、緩和の効果はまだ表れていないようです。
その一方で素材業種の株価は大きく上昇しており、工業用金属の価格が持ち直したことと整合的です。(商品市況に大きな影響を与える)中国経済の回復を待たずして、商品市況が上昇していくのは2021年4月にも見られたリフレ・トレードの表れと見ることも出来ます。
中国でもハイテク株は上昇基調にあり、金利低下を受けたハイテク株、グロース株への資金流入という構図は、米中ともに共通しているといえます。
米中貿易摩擦の影響は
2018年に米中貿易摩擦が悪化した局面では、中国のハイテク関連株から資金が流出した結果、中国ではハイテク株が独歩安となったほか、中国元が急落しました。
足元では中国元がさほど下げていないことから、米中貿易摩擦への警戒が高まっている様には見えません。ただし米国のハイテク株と比較すると、中国のハイテク株が出遅れていることから、中国当局の規制が中国のハイテク株の足を引っ張っている可能性はありそうです。
景気敏感株、バリュー株は低迷
米国では素材、資本財、運輸など景気敏感株・バリュー株の停滞が続いています。
米国ではコロナの変異種による感染が拡大しているほか、景気指数も軒並み市場予想を下回る結果が続いており、米国の景気回復ペースは緩やかなものとなっています。
しかしながら低金利と住宅需要の高まりを受けて、不動産株は明確に上昇しています。
2021年7月FOMCでの注目点
2021年7月FOMCで、Fedが一段とハト派化し、米実質金利が史上最低値を更新するかに注目したいところです。
具体的には、QE減額開始の是非や、インフレ上振れに対する評価が論点となるでしょう。パウエルFRB議長は2021年7月の議会証言で、「 QE減額開始の条件達成にまだ遠い」、「インフレの上振れは一時的である」との判断を示しており、2021年7月のFOMCでもこれらのスタンスが維持されることを市場は期待しています。
しかし足もと地区連銀などからは、インフレ高止まりのリスクに関する言及や分析が相次いでおり、ハト派(緩和継続派)のFed執行部がタカ派 (緩和縮小派) の地区連銀総裁を説得できない可能性もあります。その場合は実質金利が上昇し、ハイテク株の足を必発可能性があります。
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