FXのレバレッジとは?損が膨らむだけではない
FXをはじめようとしている人…
・FXって色んな雑誌とかで紹介されているけど、危なくないのかな?
・数千円の元手からFXをはじめて、数千万円まで資産を増やしたという話もあるけど、どうやって増やしているの?
・レバレッジって何?
・レバレッジのメリット、デメリットは?
このような疑問に答えていきたいと思います
本記事のテーマ
FX初心者が最も気を付けるべき点であるレバレッジについて解説します
レバレッジとは
レバレッジとは英語で倍率を意味します。
例えば、1ドル100円だとします。ドルを100万円分購入すれば、1万ドル手に入ります。1ドル110円になると、1万ドルは1万ドル×110円=110万円になり、10万円の利益です。
レバレッジが2倍なら利益は20万円、3倍なら30万円となります。
FXと外貨預金における最大の違い…レバレッジの有無
FXと外貨預金の最大の違いは、レバレッジの有無です。
外貨預金ではレバレッジを掛けることが出来ませんが、FXだとレバレッジを掛けることが出来ます。
その他の違いとしては、外貨預金は銀行口座で取引しますが、FXはFX業者に口座を開いて取引します。
現在、日本ではFXのレバレッジは25倍までと定められています。
レバレッジのメリット:ここだけに注目しがち
レバレッジを大きくすると、同じ資金でも、利益を大きくすることが出来ます。
上記で、レバレッジの数値例を挙げました。日本では最大25倍のレバレッジを掛けることが出来ます。
上記の例
(100万円保有、ドルを1ドル100円で購入した後、1ドルが110円まで上昇)
の場合、レバレッジなしだと10万円(100万円→110万円、レバレッジ25倍だと、10万円×25倍=250万円(100万円→350万円)の利益になります。
1ドル100円→110円の時に、レバレッジなしで250万円の利益を上げるには、2500万円の投資が必要ですから、レバレッジを用いることで、少ない資金でも一獲千金を狙うことが出来ます。
レバレッジのデメリット:<最重要>予想が当たっていても、損する可能性
100万円保有、ドルを1ドル100円で購入した後、1ドルが90円まで下落したとします。
レバレッジなしなら10万円の損失(100万円→90万円)、レバレッジ2倍なら20万円の損失(100万円→80万円)です。
では、1ドル100円→40円→110円という値動きの場合はどうでしょうか。
レバレッジなしならば、60万円の損失→10万円の利益(100万円→40万円→110万円)となり、最終的には10万円の利益を得ることが出来ました。
レバレッジ2倍の場合は、120万円の損失→20万円の利益(100万円→▲20万円→120万円)とはなりません。100円→40円の時点で、損失額が投資額を上回り、強制的に清算されてしまいます。この場合、100万円を失うだけなく、20万円の借金を背負ってしまいます。
つまり、円安ドル高になるという予想が最終的に正しくても、レバレッジを掛けていると、途中で退場させられる可能性があるということです。
必要証拠金、ロスカットライン
『DMM FXの証拠金シミュレーション』で証拠金の額を計算することが出来ます。
結果は、以下の通り。1とは1万単位なので、103×1万=103万円相当のドルを購入した場合です。
レバレッジを25倍にすると、(103万円÷25倍=)41,200円の資金で103万円の取引が可能となりますが、41,200円しか証拠金をFX口座に入れていない状態で、1万ドル買うと、僅かでもドル安になれば、追加の証拠金を求められます。
また、証拠金残高が21,021円を下回ると、強制的にロスカット(清算)されてしまいます。
証拠金を41,200円しか入れていない場合、約2万円の損失で、強制ロスカットされることになります。
1万ドル買っていて、1円ドル安(例えば103円→102円)になると、レバレッジなしなら1万円の損失、25倍レバレッジなら25万円の損失。
レバレッジ25倍の場合、2万円の損失は、2÷25倍=0.08円、つまり僅か8銭円高に振れただけで、強制ロスカットとなります。
強制ロスカットを避ける3つの方法
相場の見通しが当たっていても、強制ロスカットになってしまっては、途中で退場させられてしまいます。
強制ロスカットを避けるには、以下のような方法があります。
1.レバレッジを下げる
2.途中で損切りをする
3.価格変動が大きな時期、通貨を避ける
1.レバレッジを下げる
レバレッジが低ければ、損失を被っても強制ロスカットに至る可能性は低くなりますし、レバレッジ1倍の取引である外貨預金であれば、強制ロスカット自体が存在しません。
2.途中で損切りをする
市場参加者の多くが、ドル高円安を予想していたとし、FXでドル買い(円売り)を行っていたとします。
このような状況でドル安円高となった場合、多くの市場参加者が、ドル買い(円売り)ポジションを解約せざるを得なくなり、ドル売り(円買い)を行います。
その結果、一段とドル安円高が進行することがあります。
つまり、FXで含み損が生じている場合は、自分と同じようなポジションを保有している市場参加者の損切により、一段と、自分の含み損が膨らむ可能性があるのです。
よって、早めに退場(損切り)を行った方が、傷が浅く済み、強制ロスカットも避けられる可能性が高まります。
3.価格変動が大きな時期、通貨を避ける
2020年3月の新型コロナ禍といった突発的イベントや、米大統領選といった大型イベントの前後では、為替が大きく変動する傾向があります。
よって、上記のような時期には、FX取引を控えるか、レバレッジを下げた方がよいでしょう。
また、ドル、ユーロ、円といった主要通貨と比べて、南アフリカのランド、トルコリラなどは、国の政治、経済が不安定であるために、変動性が大きいです。
ノーベル賞受賞者もレバレッジの罠に陥った
LTCMは1994年に設立されたヘッジファンドで、ノーベル賞受賞者であるマイロン・ショールズ、ロバート・マートンらを含むドリーム・チームにより運用されていました。
高度な金融工学を駆使した運用を行い、また、レバレッジを掛けることで、当初4年間は高い運用成績を収めていました。
しかしアジア通貨危機(1997年)、ロシア財政危機(1998年)により、大きな含み損を抱え、破綻に追いやられてしまいました。
彼らがポジションを維持していれば、ロシア危機後は高い収益を上げることが出来ており、彼らのポジション自体は誤りではありませんでしたが、レバレッジを掛け過ぎたことで、大きな相場変動に耐えることが出来ず、最悪のタイミングでロスカットを余儀なくされてしまいました。
レバレッジは、少ない資金で大きな収益を狙うことが出来るという点では魅力的ですが、LTCMに限らず、極めて優秀とされていた運用者でも、レバレッジの掛け過ぎで大きな損失を被った例は数え切れません。
レバレッジを掛ける場合は上記3つの点を守るようにしましょう。
今回の内容を参考に、ぜひFXにチャレンジしてみてくださいね。
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