中国の景気は悪化が継続
2021年8月31日、中国政府(統計局)は景況感指数である製造業PMI、非製造業PMIを公表しました『中国製造業PMI、8月は50.1に低下 非製造業の景況悪化』(ロイター、8月31日)。
どちらの指数も7月から低下し、非製造業(サービス業)PMIに関しては8月が47.5、コロナ後で初めて好況・不況の分水嶺である50を割り込みました。
中国の不況は何が原因?
景気は需要(消費)サイドと供給(生産)サイドに分けて考えることが出来ます。
供給が多くても、需要が少なければ、物が売れず、供給も徐々に減少して不況となります。
需要が多くても、供給が追い付かなければ、「買いたいのに買えない」という状況になり、カネまわりが悪くなり(経済が循環せず)、不況となります。
中国景気が悪化している4つの理由
各種統計を見ると、8月において中国国内の生産は堅調ですが、需要が減退しています。
需要が減退している背景としては、
1.コロナの感染拡大
2.銀行からお金が借りにくくなっている
3.不動産規制により、住宅が売れなくなっている
4.企業収益が悪化している
ことを挙げることが出来ます。
4つの理由のうち、2つは今後改善、残り2つは今後も景気の足を引っ張る
ただし1、2の要素は、今後改善していくことが期待されます。
1.については、既に8月28日から国内発生型の新規患者数がゼロとなっており、移動制限も9月中には大幅に緩和される可能性が高いです。
2の銀行融資に関しては、中国の中央銀行である人民銀行が8月下旬、銀行に対して貸出を増やすように指導しました。
3~4は今後も景気への悪影響が続く可能性が高い要素です。
3については、中国政府の格差是正の方針に従い、住宅価格の高騰を抑制し、低所得者でも家が買いやすくなる政策が継続されると考えられます。この政策は、住宅価格の下落や、不動産業の業績悪化を招き、景気にはネガティブに働きます。
4については、学習塾、オンラインゲーム等への規制強化が、関連企業の収益を悪化させています。3と同様中国人の健全な生活のために、政府はこれらの業界への規制強化を継続すると考えられ、景気の下押し圧力となり続けるでしょう。
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