OPECプラス、減産見送り。原油価格急騰でむしろ利下げの可能性高まる?

FXの戦略

OPECプラスを受けて、原油価格は急上昇

2021年10月4日に実施されたOPECプラス(注)では、原油の減産が見送られ、原油価格が急上昇しました。

原油価格の上昇は、インフレ率を押し上げるため、各国中銀が利上げを急ぐ要因となります。

(注)「OPECプラス」は石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成され、産油国の原油生産の方針を決めることで、原油価格にある程度の影響力を持つ

〇原油価格(WTI)の推移

oil_price

原油価格の良い上昇、悪い上昇

原油価格の上昇が、景気回復に伴う原油の需要増(良い価格上昇)の場合は、上記の通り、利上げの可能性は高まるでしょう。

その一方で、原油価格が供給不足(戦争により産油国が原油を生産できないなど)からくる場合は、原油価格の上昇は単に、人々の生活を苦しめるだけです。

そのような環境下では、景気を悪化させる利上げ(例えば利上げにより住宅ローン金利が上昇すれば、住宅ローンを借りる人の生活は苦しくなります)は行いにくくなります。

2021年に原油価格が上昇している理由

現在の原油価格上昇は、

(1)メキシコ湾岸でハリケーンによる製油所が操業停止

(2)クリーンエネルギー化が進められているため、原油を生産する企業が、将来の原油需要の減少を見込み、原油の生産を事前に減らしている

(3)コロナによる人手不足、国境封鎖で、原油が産油国から他国に行きわたらない

(4)コロナの感染者減少で、人々の往来が増加し、車のガソリン需要が増加

などが原因です。(4)以外は、悪い意味での価格上昇要因となります。

悪い原油価格上昇の場合は、利下げの可能性

湾岸戦争(1990年8月 – 1991年2月)では中東の油田が操業停止となったことで、原油価格が上昇しました。

戦争、ということもありリスクセンチメントは悪化。

米国の中央銀行であるFRBは、原油価格が上昇する中、利上げを行いました。

〇湾岸戦争(1990年8月 – 1991年2月)時に、原油価格上昇も、FRBは利下げを行った

US_policy_rate_oil_price_1990

リーマンショック後も原油価格は急騰しました。

中国経済が目覚ましく成長する一方で、OPECが原油の増産を見送ったことで、原油価格が押し上げられた形です。

そして米国のFRBは、利上げにより原油価格の上昇によるインフレ上昇を抑制するのではなく、

利下げにより、リーマンショックで傷ついた米国経済を救うことを優先しました。

〇リーマンショック時も、原油価格上昇の中、利下げがおこなれた

US_policy_rate_oil_price_2008

以上を踏まえると、足もと原油価格が上昇していますが、必ずしも各国の利上げに繋がるとは限らない、ということです。

その場合は、ハイテク株が再び買われることになるでしょう。

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